教育談義、大いにけっこう! でも、誤解なきように・・・

K先生が「反論」ということで書き綴ってくれたこと・・・

僕はとしては、「一般入試で入った人間と、AOや一般公募で入った人間に大きく差がある」「AOや推薦は楽だから、合格しても別にどうってことない」・・・というようなことを言っているのではない。

現高3生を否定しているつもりはないし、むしろここまでの成果を上げたことは賞賛に値することだと思っている。ほんとうに生徒たちはよくやってくれている。滋賀学園の歴史を変えたと言ってもいいくらいだ。関わった先生たちの指導にも、大いに敬意を表したい。

ただ、AOや推薦に乗っかるだけでも大変だという大学(そういうところがないとは言っていない)は別にして、傾向としてそういうことが顕著に出てきていることを「大学側」が危惧して、対策をし始めているということなのだ。

ちょっと数字は古いが、早稲田、慶応といった日本を代表する私立大学でさえ定員の4割近くは推薦AOという現実があるくらいだ(2007年度入試)。

総定員   一般入試募集人数  推薦入試募集人数  付属高数
上智    2160人   1322人(61.2%)   838人(38.8%)   0校
慶応    6145人   3920人(63.8%)  2225人(36.2%)   5校
早稲田  8880人   5880人(66.2%)  2000人(33.8%)   5校
中央    5410人   3694人(68.3%)  1716人(31.7%)   3校
立教    3685人   2575人(69.5%)  1110人(30.5%)   2校
明治    6205人   4421人(71.2%)  1784人(28.8%)   3校
青学    3132人   2285人(73.0%)   847人(27.0%)  1校
(推薦募集人数には、AO入試・社会人入試等も含む)

建前上は一発勝負の受験の弊害を排したり、多様な学生を集めるために導入されたAO入試だが、少しずつ改善されてきているとはいえ、今もって有効に機能しているとは言い難い。

「AO(青)田買い入試」「All OK 入試」と揶揄される現状が年々ひどくなり、その低学力が各大学で問題になっているのは事実なのだ。早慶レベルの学校に、それより偏差値が10以上下の大学の付属校から、成績不良で大学に上がれなかった生徒が、推薦やAOで数人入学しているという話だ。(和田秀樹=精神科医・国際医療福祉大学教授)

一方、難関国立大学でも、AO入試を取り止める大学が出てきている。2009年度入試からは、筑波大学(社会・国際学群)および一橋大学で廃止。2010年度からは九州大学(法学部)でも廃止される予定。

筑波大学と九州大学は、2000年度に、国立大学初のAO入試を導入した大学であるが、「AO入試組」の学力不足・入学後の学業不振を理由に見直しを決定。

<九州大学>
「2005、2006年度に一般入試とAO入試で入学した学生の成績を比較したところ、授業が進むに従い、AO入試で入学した学生の成績に低下が見られた」
「AO入試で入学した学生の成績がほかよりも低い傾向にあった」
「センター試験を課す学部では目立った差がなく、基礎学力の不足が原因と判断、廃止を決めた」

<一橋大学>
「(AO入試では)しっかりした学力を身に付けているかどうか判断できない」

明日の教員通信『仲間達』にも取り上げたことだが、先述の和田秀樹先生の著書『新学歴社会と日本』には、こんな話が出てくる。

☆かつて、我が国で多くの人が競争に参加していたころには、国民全体の学力が高かった。現在、学歴のある親の子供は学習意欲を持ち、学歴のない親の子供は学習意欲がないという傾向が出てきているので、学力格差が益々拡大する。競争から降りる子供が多くなったので、全体としての学力は低下している。競争に参加する者が減っているので、入試が簡単になり、頂点と言われている東大のレベルも下がっている。

☆現在進行中のAO入試、自己推薦入試で入学した学生の学力は著しく低い。早稲田などの名門大学が付属高校からの緩やかな進学を認めているため、入試をくぐった学生との差が極端に大きくなっている。

☆これからは、学歴ブランドがますます重視されるが、これにプラスして実力も重視される。名門校に入学試験を受けて合格した者はそれなりに評価されるが、エスカレーター式やAO入試などの学生は評価されにくいことになる。企業の人事担当者も、こうした事情に気付きつつある。

昨日のブログは、こういった一連のことを指して書いたまでのことなので誤解なきようにお願いしたい。・・・というより、こんな教育談義?を、もっともっと現場で交わしたいというのが本音のところだ。(もちろん、成果を認めているからこそできるという意味で)


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