人からの意見や忠告には素直に耳を傾けてほしい

いま取り組んでいる「改革プロジェクト」は、現場だけの改革ではない。経営者から管理職、現場の教職員、事務職、食堂や寮、スクールバスの関係者、保護者会、後援会など、それこそ本校の学校教育に関わるすべての「ヒト・モノ・コト」が対象だ。

しかし、現実にはこれまで繰り返されてきた幾多の「改革」と呼ばれる取り組み(実際には、お世辞にも改革とは呼べない「内輪のお遊び」だと僕は思っているが)の影響もあって、まだ全員がそこまでの認識を持っていない。正直、持ちたくても持てないというのが大多数の言い分だ。

なぜか・・・。敢えて言葉を選ばずに言うなら、責任を取らなくてはならない立場にある人が、誰も責任を取りたくないという意識が見え見えだからだ。「バカを言うな、トップとして私が責任を取る」、「自分が提案したことは、自分が責任を取るのは当たり前だろう」。関係者はみんなそう言うに決まっている。事実、そう思っていることは間違いない。

なのに、なぜ「責任を取りたくないという意識」が見えるのか。それは、責任の取り方が全くわかっていないからだ。自分は直接手を下さないで、最終結果だけの責任を負えばいいと言うものではないだろう。仮にそこまで徹底し、丸投げをしてくれるならそれもありかもしれないが、すべてにおいて自分が口を出しながら、その一方で責任を回避するような関わり方をして、最後に責任を取るのは私だと言ったところで誰が信用するか。

みんな自分が悪者にはなりたくないし、責任を取りたくはない。だからといって、生じるであろうリスクを自分以外の「誰かが取ってくれる」「誰かに取らせよう」という意識では、本気の改革などできるはずがない。

責任を取ると言うことは、リスクを回避すべく、積極的に関与し、まず自分が「動く」ことだ。口先だけで指示することではない。このままいけば不安だなと思ったら、その不安を取り除くべく自分が何をすべきかを真っ先に考え、行動するのが筋だ。なのに、不安が現実になったときに自分がそこにいるのはマズイから、今のうちから予防線を張っておこう、関わらないでおこうというのはどういうことか。どう考えても、それは「責任回避」としか映らないだろう。

今回の改革のリーダーを預かるにあたり、僕としては生じるであろう様々な障害を承知の上で改革に着手した。小手先の改革ではない、ホンモノの改革をするために、立場に関係なくその「責任」を果たしてもらえるよう、言葉を選んで提案をし、説明をしてきた。

現場に向けて改革の旗を振るためには、まずはトップ層が意識を変えなければならない。改革が必要な組織において、上層部が健全で現場だけがおかしいなんてあり得ない。改革はまず上層部からが鉄則だ。

いろいろな組織で改革が語られるとき、内部からの改革は無理だと言う人もいる。改革には上層部の大変革、強烈なリーダーシップが必要不可欠だという。

だからこそ、現場も大事だが、現場より先に改革のゴールを意識付け、そのためにどうあってほしいか、どういう動きをしてほしいか・・・。意識の部分も含めて、いろいろアプローチをしてきた。外部の力も借りながら、具体的に行動計画を提示し、見通しを立てて丁寧に対応してきたつもりだ。

なのに、とにかく、我々が言っていることを、心の底から信用して、前向きに受け止めてもらえていないような気がする。大事なのは現場の教職員ではなく、上層部なんだろうか・・・。

手も足も縛られ、いかにして改革せよと言うのか? もはや憤りというよりも、情けなさを感じてならない。

誰の意見なら聞いてもらえるのだろう。どんなふうに言えばわかってもらえるのだろう・・・。

立場を考えたら、到底、対等でモノを言えるような相手ではないことはわかっていながら、職務として提案しているわけだ。それを感情を含めて聞いてもらっては、本質が伝わらない。

何の利害関係もない、外部から、改革を成功させようとして(それを仕事として関わっている)立場の意見さえ、自分の思いとは違うからといって聞き入れてもらえない状態で、改革はあり得ない。

だが、それを承知(ここまで理解が得られにくいとは、正直思っていなかったが)で改革に着手し、外部にも宣言したわけだ。

改革を止めるわけにはいかない。

誰が悪いとか、個々人を責めることではないし、そうしたところで何の解決にもならない。感情論で物事の本質を見失うことだけは絶対に避けなければならない。

改革は、あくまでも仕事。ビジネスとして自己犠牲を払うことだってあり得る範疇の話だ。職務上、やり遂げなければならない事項であって、気が進まないから、嫌だからといってやらなくてもいいという選択肢はあり得ない。できれば儲けモノ、失敗したらゴメンなさいで済むことではない。

何か方法はあるはずだ。これまで以上に強く、鋭く、改革を進めるべく手を入れていくしか道はない。


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