今日から、高校では中間考査が始まった。中学は今週、木・金と中体連の春季総体がある関係で通常の授業日。中間考査は来週末だ。

中高を行き来している先生たちにとっては、校舎のあっちとこっちで、まるっきり異なる時間の流れがあって、どうも落ち着かない感覚がどこかにあるようで、なんだかやりにくそう･･･。

午後、高校では進学指導に向けたステキな講演があったそうだが、中学では4時間目が終わったばかりで、昼食、掃除、5時間目という流れの中では聴きたくてもその場に行けないやん！

もっとも、これには理由があって、あくまでも今回は高校所属の先生対象にということで、考査中なら時間がとりやすいだろうと、講師の先生の都合もあって、急遽、日程が決まった講演会。今回で終わりじゃないので、中学所属の先生は次の機会にと、校長先生からは聞いている。

さて、ボクはと言えば、午後の時間を使っていつもの学校訪問。今日は現在、本校に生徒を送ってくださっている大津市内の中学へと足を運んだ。これで第一弾終了。入試広報部長のK先生と手分けして訪問している県内中学校だが、今日でひと通り回り終えたことになる。

そんなこんなで学校を訪問していると、事務室や職員室であいさつを交わすだけの出会いもあれば、進路担当の先生だと30分～1時間くらい話をする時もあったりと、ほんとうにたくさんの人と出会う。

で、そのたびに「あっ、いい感じの人だな」とか、「なんか、つっけんどんな感じ･･･」などと、初めて出会った人であっても、それなりの印象を持つ。第一印象というと、なんだかイメージが限定されてしまうそうな気もするが、長い間接している人とはまた違う、「出会いの味」があるように思う。

こういった、人から受ける印象は、なにもずっと一緒にいなければわからないというものではない。逆に、最初に受けた印象の方が、案外当たっていたりすることもある。

そんな、「人が醸し出す雰囲気」について、だいぶ前に読んだ、広島で小中学校の先生や校長として活躍し、定年退職後は英語を主とした私塾を開き、児童の学習力強化と人間形成に情熱を注いだ一人の先生が書いた本に、こんなことが書いてあった。

私どもの周囲には、その人と話していると何となく気持ちが良く、いつまでも話したくなり、話した後も気持ちがスカッとして心が清められるような人がいる。こういう部類の人は、数少ないが、私は“香りある人”と名付けたい。

人間がこの世に生を受けた以上、このような人になりたいと願わぬ者がいるであろうか。しかし、現実はその逆の人と、その中間の人がほとんどである。

“香りある人”とは、一体どんな人をいうのであろうか。私は自分の長い人生経験からして、次のような人をいうのではなかろうかと思う。

（1）顔が柔和で、礼儀正しく親切な人。
（2）人の話をよく聞き、自分の意見を述べて話を盛り上げ、相手を満足させる人。
（3）自己中心的でなく、人の嫌がる言動はしない。

これに反し、その人のそばにいると、何となく嫌になり、一刻も早く別れたくなる人がいる。次のような人は、それにあたるのではなかろうか。

（1）顔の相が悪く、人に暗い感じを与える人。
（2）自分の激しい感情を露骨に出し、反省の足りない人。
（3）損得でものを見る、卑しい人。
（4）自己中心の言動をする、我の強い人。

大部分の人は、その中間であろう。“香りある人”になることは、なかなか容易ではなく、一朝一夕になり得るものではない。長い間の研鎖と努力によってこそ、そのような人物になれるのである。

なるほど、読んでみれば何のことはない。みんな、ごく当たり前のことだ。でも、最後の方にも書かれているとおり、これは口で言うほど簡単なことではない。

ふだんの生活の中で、私たちが深く考えずにやり過ごしてしまっていることが、どれほどあるだろう。その時、まわりにいる人たちに嫌な思いをさせ、もしかすると、人を傷つける結果になってしまったことがあったかもしれないのに、それを少しも意識しないまま、平然としていることはないだろうか。

もちろん、こうしなければならない、当然こうあるべきだということは、誰もがわかっているに違いない。でも、現実の生活の中では、自分の弱い部分や身勝手な部分が顔を出し、気がつけば「しまった」ということになってしまう。

そんなことではいけない。“香りある人”にならなければ･･･。
でも、どうしたらそうなれるのだろう･･･。

残念ながら、その特効薬はない。ただ、日頃から常に自分の言動を振り返り、ささいなことでも疎かにしないようにする･･･。

その心がけを積み重ねていくだけだ。