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2008年06月14日

●軸をまっすぐに-どの子も伸びる-

午後、愛知川公民館で行われた「愛荘町文化講演会」。

 

年度初めに案内があって、これはぜひ聴きに行かなければと思っていた。

教育界では・・・というより、大学進学を気にしている人ならその名を知っている、
京都市立堀川高等学校長の荒瀬克己先生。
「堀川の奇跡」とまで言わしめた先進的な学校改革で有名になった学校だ。

NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも取り上げられ、
その著書、「奇跡と呼ばれた学校」にも数々のエピソードが綴られている。

堀川高校は、改革によって国公立大学への合格者数を1ケタ(2000年度、改革後
の第1期生が卒業する前の年度)から一気に100人以上(2001年度)に伸ばした。
2007年春には、東大に4人、京大に42人の合格者を輩出している。

現在では、全国有数の進学校だが、俗に言う”詰め込み教育”とは無縁で、
この「堀川の奇跡」の原動力となったのは、1999年春に実施した一連の学校改革。

その目玉は、専門学科「人間探求科」「自然探求科」の新設だった。
ユニークな「探求基礎」という科目が週に2コマずつ設けられていて、
生徒たちが自由にテーマ(大学進学後の専門研究につながるものなど)を設定し、
それを継続的に研究。個人論文を発表して,生徒同士で互いに評価し合う。
いわば、大学におけるゼミや卒論・卒研に相当するようなものだ。

これら一連の改革で、堀川高校が学校改革で目指したのが、「受験のための
詰め込み教育」の強化ではなく、生徒たちが主体になって学べる場の提供。

それによって「知る(探求する)ことのおもしろさ」「探求活動における基礎学力の
重要さ」を生徒たちに身をもって体験してもらい、「段取り力」を身に付けてもらおう
と考えた。

単に詰め込むだけでは、学ぶことに対する目的意識がうやむやになってしまう。
自らが知りたいことを自らが主体になって学ぶことによって、学習に対する目的意識
が確固たるものになり、それがひいては受験につながり、さらには社会に出てからの
「段取り力」の習得につながるという。

さて、前置きが長くなったが、今日の講演・・・

1時間半という時間に凝縮された、経験に基づくエピソードの数々から、
荒瀬先生の教育に対する情熱や想い、哲学が、ストレートに伝わってきた。

さすが国語の先生だけあって、ユーモアを交えた話は極めてわかりやすく、
ソフトな語り口調の中にも、メッセージが明確に埋め込まれていて、
その人柄とともに、大いに共感できる内容だった。

何も私が特別な想いをもっているとか、特別な力があるというわけではなく、
いま話している内容は、ここにおられる大部分の人も同様に思っていること。
同じ年代の大人なら、誰もが思っていることを言っているだけなんです・・・

確かにその通り! うんうんと頷けることばかり。

でも、多くの大人たちは”想いはあっても実行できない”わけで、
それを実行し、経験的に積み上げていっているという点では、足元にも及ばない。

最初は、参考になることをメモしようと思っていたが、ペンを動かすのも無駄に思え
るほど、”言葉を聴いていたい”感覚になり、”言葉を文字ではなく、心に刻みたい”
講演だった。

大学受験に合格することが人生のゴールではない・・・

僕自身、いつも子どもたちを前に、何かにつけて示しているメッセージだ。

「受験勉強で得られる知識の多くは、入試の時にしか使えない。
しかし、高校生には未来がある。これから先の長い人生を生きていくためには、
培っておかなければならないことがたくさんある。
将来の夢をかなえるために、希望する大学に合格することも大切だから、
それを乗り越える手助けもする。同時に、生徒が将来何をするにしても、
社会で多くの人とかかわって生きていくための力もしっかりつけさせたい」。

堀川高校では、目に見える学力としての受験対応力と、すぐには目に見えない、
たくさんの学びや遊びを通して得られる「生きる力」の両方の獲得に取り組んでいる。

本校の最高目標は『18歳で自立できる青年を育成する』ことで、
「社会に出てから役立つ力」の一つとして、物事を計画し実行する力=「段取り力」
を極めて重視している・・・と。

同僚との話で、いつも話題に上る「段取り力」。
この言葉を聞いただけでも、自分たちの教育観が間違っていないというか、
目指す方向に自信が持てて嬉しかった。

まず教員自身が「段取り力」をもって子どもたちに接し、
その体験を通して、子どもたちが「段取り力」を体得させることが大切なのに、
現場ではなかなかそれが通じないことに苛立ちさえ覚える毎日の中で、
荒瀬先生の言葉は大きな支えになりそうだ。

心に響くキーワードもたくさんあった・・・

・人は言葉を浴びて育つ
・人は言葉で考える
・考える習慣が身につくと、言葉の力がついてくる
・大人たちは生徒や子どもたちに答えを与えすぎる
・日常の問題も、言葉によって解決する

そして何よりも、「なるようになるさ・・・」的な余裕がいい。

やろうとしていることは、人間を育てるという、とてつもなく大きく深いことなのに、
構えは実にゆったりとしている。

・教育は楽観的でありたい
・何とかなる、これからだ、を大切にしたい

普段の自分自身も同じようなスタンスなのか、
同じようなことを同僚からよく言われる身としては、自信が持てて嬉しい。

とにもかくにも、以前読んだ「奇跡と呼ばれた学校」に書かれていたことも含め、
いろいろなことが頭の中を駆け巡っている。

ただ、それは迷っているとかいうことではなく、不思議なくらい前向きでクリアな、
一点の疑問符もつかないほどの混乱?なのだ。

感覚としては”自分の教育観に自信が持てた”ということなんだけど、
そんなに単純な言葉で片付けられない大きなものが渦巻いている。

整理しつつ、早く現場で生かしていきたい・・・

そう強く思っている。

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