●働くということ
日本経済新聞の一面連載記事で、
2003年4月~2004年9月まで断続的に続いた
「働くということ」。
現代の日本社会で「働く」とはどういうことか。
多種多様な働く姿との比較を通じて、
自らの働く意味を改めて考えるきっかけに・・・
との願いが込められていた。
その連載を単行本化して、2004年9月に『働くということ』が刊行された。
引き続き、2005年4月~7月まで、3部にわたり日本経済新聞に連載された
「働くということ2005」。
それらを再構成し、大幅に加筆・修正を加えて出版された文庫本が、これ。
書店で見つけ、そういえばそんな連載記事、読んだことあったなあ・・・と思い出し、
買って読んでみた。
(この種の本は、新しい発見がいっぱいで、元気が出るし、大好きなのだ!)
で、いろいろ気になって、少し調べていたら、こんな書評に出会った。
「プレジデント」誌に掲載の、梅田 望夫氏の新刊書評(2004年12月13日)だ。
その一部を紹介すると・・・
インターネット上に厖大な情報が溢れ、
グーグルでそのすべてが瞬時に検索できる今、
グーグル検索しても出てこない「隠れた情報」を含む新聞記事でないと、
私たちはその記事に新鮮さを感じなくなっている。
この連載には、そんな「隠れた情報」が満載。
取材にカネがかかっているなぁと読みながら毎日思ったものだ。
「失われた十年」などと言われながらも、
その間に日本社会の「仕事の現場」がどれほど大きく変化したか。
取材された莫大な素材から選りすぐった「隠れた事例」を次々に並べることで、
本書はそのことを表現する。
一つの事例に費やされるのは平均半ページ。
取材した内容の大半を惜しげもなく捨てて
最後に残った「いいところ」だけでできあがった短い文章が、
次々と事例を変えながら続いていく。
「このことについてもう少し知りたい」と興味を持ったところで、
もう話題は次に移っている。
最初はそれに戸惑うのだが、読み進めていくうちに快感に変わっていく。
現代のスピード感にマッチしているからだ。
優れた新聞記者は、時代の意味を切り取って、
それを新しい文字や言葉の組み合わせによって表現するものだ。
一方、グーグルを駆使する上で難しいのは、検索キーワードの選択である。
正しいキーワードを思いつけるかどうかで、得られる情報の質が大きく違ってくる。
ある事象とそれにぴったりと合った言葉を連想できるかどうかが、
個人の情報戦略における競争優位の源泉となりつつある。
そのギャップを埋めることが、新聞の新しい役割となるのかもしれないなと、
本書を読んで思った。
本書から「なるほど」と思った言葉を抽出し、
そのひとつひとつでグーグル検索してみるといい。
地方のソフトウェア会社が新入社員を東京に送って満員電車を体験させる
「満員電車研修」の話など、グーグル検索で引っかかってこない「隠れた事例」だ。
でもその研修を描写する中で使われる「痛勤」というキーワードは、
新しそうに見えてもグーグル検索すれば10万件以上ヒットする既に定着した言葉である。
検索結果の量に応じて、ある言葉が「新しいキーワード」なのか否か、
ある情報が「隠れた情報」なのか否か、そんなことなどが瞬時に理解できるはずだ。
ちょっと難しい話になったけど、
「仕事のおもしろさ」や「働くということは尊いこと」「働けるということは幸せなこと」
という当たり前の事実に気づかせてくれる、オススメの一冊だ。






