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2006年05月02日

●あの子がいたから・・・

新学期が始まって、やがて1か月が経とうとしている。
新しい環境で、どんな人と出会い、どんな時間を過ごしているのだろう。

この時期になると、決まって思い出す話がある。
以前勤めていた学校で、同僚の国語の先生から聞いた、こんな思い出話だ。


先日、大学時代の友人から電話があった。「来年2月に結婚する」ということだった。 
私が大学時代を過ごしたのは名古屋。それまで何の馴染みもない土地。
おまけに、親元を離れての生活。不安、淋しさ、心細さ・・・。
数々のマイナス感情を抱えながら、大学生活がスタートした。

入学式翌日のオリエンテーション。
自己紹介の時、「滋賀県から来ました」と言った途端、「おお・・・」というどよめき。
名古屋という土地柄上、学生の大半は愛知県、岐阜県、三重県、静岡県といった
東海地方の出身者。まるで外国人を見るような目で見られ、
その視線をはねのけようと、笑顔をつくって自己紹介を終えた。
マイナス感情が沸々とわきあがってきた時、私の前に座っていた子が、
私の方を向き、「滋賀県のどこ?」と笑顔で聞いた。
「長浜!」と、その優しい笑顔につられ、私も笑顔で答えた。
「長浜? 私のおばあちゃん、びわ町の人!」と意外な答え。
それからしばらく、私の地元の話で盛り上がった。

マイナス感情が、ひとつ、プラス感情に変わった。

それ以来、私は、その子に幾つマイナス感情をプラス感情に変えてもらったことか。
例えば、言葉ひとつにしても、関西と名古屋では全然違う。
私が、今まで使ってきた言葉で話した時、名古屋の子が「へん!」とか
「そんな言葉、使わない」とか言った場合、
その子が「関西では、そうやって言うよ」と口添えしてくれた。
その子の一言で、名古屋の子も私の言葉に納得してくれた。
私と名古屋の子をつなぐパイプの役目を、その子は果たしてくれた。
もし、その子と出会っていなければ、大学時代を無事に過ごせたかどうか・・・。
その子のおかげで、大学時代が送れたと言っても過言ではない。

「来年2月に結婚する」と電話をくれた友人こそが“その子”。

私が結婚するわけではないが、私自身のことのように、いや、それ以上に嬉しく、
心から「おめでとう!」と言いたい。
オリエンテーションの日、初めて口をきいた時に見せてくれた、あの優しい笑顔で・・・。


よく、高校から大学にかけての時期に出会った友人は、一生を通じての“親友”になる
といわている。とくに、女の人の場合はその傾向が強いようで、
結婚して、子どもができても、相変わらず付き合いが続いている例を、
僕自身、何人もの卒業生から聞いている。

かけがえのない友人とは、いくら遠くにいても、どれだけ離れていても、
出会った瞬間に気持ちが通じ、リアルタイムで自分の現状を伝えたい相手だと、
彼女は言う。
それだけ自分の心に深く根ざしている大切な人だということだろう。

ある時は自分を励まし、ある時は自分を叱ってくれる。
そんな友人を、みなさんもぜひ見つけてほしい。

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